習近平主席のダボス会議での基調講演全文
(仮訳)
2017-02-10 09:49

中国の習近平国家主席は1月17日、世界経済フォーラム(WEF)2017年年次総会(ダボス会議)の開幕式に出席し、「共に時代の責任を担い、共に世界の発展を図ろう」と題する基調講演を行った。講演全文次の通り。

尊敬するロイハルト大統領、ハウゼン氏

尊敬する各国の元首および政府首脳、副元首、夫人の皆さま

尊敬する国際組織責任者の皆さま

尊敬するシュワブ会長と夫人

ご在席の皆さま、友人の皆さま

美しいダボスに来られたことを非常に喜んでいる。ダボスはアルプスの小さな町だが、世界経済を観察する重要な窓口である。皆さんが各地からここに集まり、さまざまな考えがぶつかって知恵の火花を散らし、比較的少ない投入で非常に高い産出が得られる。私はこの現象を「シュワブ経済学」と称することができるとみている。

「それは最良の時代であり、最悪の時代でもあった」、英国の文学者ディケンズは産業革命後の世界をこう表現した。今日、われわれも矛盾した世界の中で生きている。物質的富が蓄積し、科学技術が日進月歩で、人類文明が過去最高のレベルまで発展した。その一方、地域の衝突が頻発し、テロリズムや難民の波などグローバルな挑戦〈試練〉があちこちで起き、貧困、失業、所得格差拡大など、世界が直面する不確実性が高まっている。

これについて多くの人が世界はいったいどうなるのだろうと困惑している。

この困惑を解決するには、まず問題の根源を正しく見つける必要がある。一つの観点は世界の混乱を経済グローバル化に帰するものである。経済グローバル化は人々からアリババの洞窟と見られたことがあり、現在はまた多くの人からパンドラの箱と見られ、国際社会には経済グローバル化問題をめぐって幅広い議論がある。

きょう、私は経済グローバルの問題を入り口に、世界経済に対する私の見方を語りたい。

私が語りたいことは、世界を悩ます多くの問題は経済グローバル化がもたらしたものでは決してないということだ。例えば、この数年、中東や北アフリカからの難民の波が世界に押し寄せ、数百万人が苦難の中で流浪し、さらには多くの幼い子供たちが途中の海で命を落としたことは痛ましい。この問題を引き起こした原因は戦乱、衝突、地域の混乱である。この問題を解決する道は和平を図り、和解を促し、安定を取り戻すことである。さらに例えば、国際金融危機も経済グローバル化の発展による必然的産物ではなく、金融資本が過度に利益を追求し、金融の監督管理に重大な不備があるための結果である。世界を悩ます問題を単に経済グローバル化に帰することは、事実に合致しないだけでなく、問題解決にも役立たない。

歴史的に見て、経済グローバル化は社会生産力発展の客観的要求であり、科学技術進歩の必然的結果であり、どこかの人や国が人為的に作り出したものではない。経済グローバル化は世界経済の成長に強力な原動力をもたらし、商品と資本の流動、科学技術と文明の進歩、各国人民の行き来を促した。

無論、経済グローバル化が「諸刃の剣」であることを認めなければならない。世界経済が下向きの時期にグローバル経済の「パイ」を大きくすることは容易でなく、逆に小さくなる。成長と分配、資本と労働、効率と公平の矛盾が一層際立つようになり、先進国と発展途上国が共に圧力と衝撃を感じている。反グローバル化の声は経済グローバル化のプロセスが不十分であることを反映したもので、われわれはそれを重視し、深く考える必要がある。

「甘い瓜もへたは苦く、美しいバラには棘がある」。哲学的に言って、世界に完全なものはなく、優れた点があるからと、完全無欠と見ることは包括的ではなく、欠点があるからと、少しもいいところがないとみることも包括的ではない。経済グローバル化は確かに新たな問題をもたらしたが、だからといって棍棒で叩き潰すものではなく、適応し、導き、マイナスの影響を解消し、恩恵を各国、各民族にもたらさなければならない。

かつて中国は経済グローバル化に疑念を持ち、世界貿易機関(WTO)加盟にも不安があった。しかし、世界経済への融合は歴史の大方向であり、中国経済が発展するには、勇気をもって世界市場の大海を泳がなければならない。永遠に敢えて大海に行かず、風雨を経験せず、世間を見なければ、いつの日か大海で溺れ死ぬことになるだろう。従って中国は勇気をもって世界市場に乗り出した。この過程で水を飲んでむせたり、渦に巻き込まれたり、荒波に遭ったりしていたが、泳ぐ中で泳ぎを覚えた。これは正しい戦略的選択である。

世界経済の大海は、あなたが要るかどうかにもかかわらず、いつもそこにあり、避けることはできない。各国経済における資金の流れ、技術の流れ、製品の流れ、産業の流れ、人の流れを人為的に遮断し、世界経済の大海を一つ一つ孤立した小さな湖沼や小川にしようとしても、不可能であり、歴史の潮流にも合致しない。

人類の歴史が教えているように、恐れるに足る問題はなく、恐れるべきは問題に勇気を持って向き合わず、問題解決の道が見つからないことである。経済グローバル化によるチャンスと試練に直面し、正しい選択はあらゆるチャンスを十分利用し、あらゆる試練に協力して対応し、経済グローバル化の方向をしっかり導くことである。

昨年末、私はアジア太平洋経済協力会議(APEC)非公式首脳会議で、経済グローバル化プロセスをより一層活力があり、より一層包摂的で、より一層持続可能なものにすることを提案した。われわれは主体的に取り組み、適度に管理し、経済グローバル化のプラスの効果をより多く引き出し、経済グローバル化プロセスのリバランスを実現しなければならない。大勢に従い、国情と結びつけ、経済グローバル化に融合する道とテンポを正しく選択しなければならない。効率を追求し、公平を重視し、各国、各階層、各グループが経済グローバル化の利点を共有するようにしなければならない。これはわれわれのこの時代の指導者が果たすべき責任であり、さらには各国人民のわれわれに対する期待である。

ご在席の皆さま、友人の皆さま

現在、最も差し迫った問題は世界経済を苦境から脱出させることである。世界経済の長期低迷で、貧富の格差、南北の格差の問題が一層際立っている。その究極の根源は経済分野の際立った三大矛盾が有効に解決されていないことにある。

1、グローバル成長のエネルギー不足で、世界経済の持続的安定成長を支えることが難しい。世界経済の成長は7年間、最低水準にあり、グローバル貿易の伸びが経済の伸びより低い水準で続いている。短期的政策の刺激効果が芳しくなく、深い構造改革もまだ進んでいない。世界経済はエネルギー転換のギアチェンジ期にあり、伝統的成長エンジンの経済けん引作用が弱まり、人工知能や3Dプリンターなど新技術が次々に生まれているが、新たな経済成長ポイントはまだ形成されていない。世界経済はまだ新たな道が開かれていない。

2、グローバル経済ガバナンスが遅れ、世界経済の新たな変化に適応することが難しい。最近、ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事は私に次のように語った。世界経済の成長に対する新興市場国と発展途上国の寄与率が80%に達している。この数十年間に、世界の経済的力関係が深く変化したが、グローバルガバナンス体系が新しい枠組みを反映できず、代表性と包摂性が不十分である。グローバル産業配置の調整が続き、新たな産業チェーン、バリューチェーン、供給チェーンがますます形成されているが、貿易・投資のルールが新たな情勢に追いつかず、仕組みの閉鎖化、ルールの断片化が非常に目立つ。グローバル金融市場はリスク対応能力を高める必要があるが、グローバル金融ガバナンスの仕組みは新たなニーズに適応できず、国際金融市場の頻繁な動揺や資産バブルの蓄積などの問題を有効に解消することが難しい。

3、グローバル発展のアンバランスで、人々の素晴らしい生活への期待を満たすことが難しい。シュワブ世界経済フォーラム会長は著書「第4次産業革命」の中で、第4次産業革命は極めて幅広く深い影響をもたらすとし、それには不平等の激化、特に資本の見返りと労働力の見返りの格差が拡大する可能性があるとしている。世界の最も富裕な1%の人々が保有する資産がその他99%の人々の資産の合計を超え、所得分配の不平等、発展空間の不均衡が憂慮される。世界では依然として7億人余りが極度の貧困の中で生活している。多くの家庭にとって、暖かい住宅、十分な食べ物、安定した仕事が過分の望みとなっている。これは現在、世界が直面する最大の試練であり、一部の国の社会動揺の重要な原因である。

これらの問題は現在、世界経済の成長、ガバナンス、発展モデルに解決すべき問題のあることを示している。国際赤十字の創設者アンリ・デュナンは「真の敵は隣国ではなく、飢餓、貧困、無知、迷信、偏見である」と語った。われわれは問題を分析する知恵だけでなく、行動する勇気を持たなければならない。

第1、革新〈イノベーション〉駆動を堅持し、活力に満ちた成長モデルを構築する。世界経済が直面する根本的問題は成長の原動力不足である。革新は発展をけん引する第一の原動力である。過去の産業革命と比べ、第4次産業革命は指数レベルで、非線形の速度で進んでいる。われわれは革新の中で活路を見つけ出さなければならない。勇気を持って革新に取り組み、変革してはじめて世界経済の成長と発展のネックを突破できる。

20カ国・地域グループ(G20)首脳は杭州サミットで重要な共通認識(コンセンサス)に達し、革新を重要な取っ掛かりとし、各国と世界の経済成長の新たな原動力を掘り起こさなければならないとした。われわれは発展理念を刷新し、財政刺激を少し多くするのか、金融緩和を少し多くするのかの論争を超越し、対応策と抜本策の両方をとり、総合的施策を進める考えを確立する必要がある。われわれは政策手段を刷新し、構造改革を推進し、成長のための余地をつくり、後続の力を高める必要がある。われわれは成長パターンを刷新し、新たな産業革命、デジタル経済などによるチャンスをとらえ、気候変動や人口高齢化などによる試練に対応し、また情報化、自動化が就業〈雇用〉にもたらす衝撃を解消し、新たな産業、業態、モデルを育てる過程の中で新たな就業機会を創出することに留意し、各国人民が再び自信と希望を持つようにしなければならない。

第2、協同連動を堅持し、開放ウィンウィンの協力モデルを構築する。人類はすでに持ちつ持たれつの運命共同体となり、利益が高度に融合し、相互に依存している。各国には発展の権利があるが、同時により幅広いレベルで自らの利益を考えるべきで、他国の利益を損なうことを代償にしてはならない。

われわれは開放型の世界経済を揺るぎなく発展させ、開放の中でチャンスと利益を共有し、互恵ウィンウィンを実現しなければならない。嵐に遭ったら港に戻るなら、永遠に対岸に着くことができない。われわれはグローバルコネクティビティの発展に力を入れ、世界各国の連動成長を実現し、共同繁栄に進むようにしなければならない。われわれはグローバルな自由貿易・投資を揺るぎなく発展させ、開放の中で貿易・投資の自由化、円滑化を推進し、旗幟鮮明に保護主義に反対しなければならない。保護主義は自らを暗い室内に閉じ込めるようなもので、風雨に打たれるのを避けることができるようだが、陽光と大気からも隔絶されることになる。貿易戦争の結果は双方が傷つくだけだ。

第3、時と共に進むことを堅持し、公正で合理的なガバナンスモデルを構築する。小智は事を治め、大智は制度を作る。グローバル経済ガバナンス体系変革の緊急性がますます際立ち、国際社会の声がますます高まっている。グローバルガバナンス体系が国際経済の枠組みの新たな要求に適応してはじめて、グローバル経済を強力に保障することができる。

国の大小、強弱、貧富にかかわらず、みな国際社会の平等なメンバーで、当然、平等に政策決定に参加し、権利を享受し、義務を果たすべきものである。新興市場国と発展途上国により多くの代表権と発言権を与えなければならない。2010年のIMFクォータ改革プランがすでに発効しており、これを継続すべきだ。多国主義を堅持し、多角的体制の権威性と有効性を守らなければならない。約束を実行し、規則を守るべきで、自らの意思だけで取捨選択するものではない。「パリ協定」はグローバル発展の大方向に合致するもので、成果はたやすく得られたものではなく、共にしっかり守り、軽率に放棄するなどと言ってはならない。これは子々孫々に対して負うべき責任である。

第4、公平・包摂を堅持し、バランスをとって、広く恩恵をもたらす発展モデルを構築する。「大道が行われると天下は公のものとなる」。発展の目的は人民に幸福をもたらすことである。発展を一層バランスのとれたものにし、発展の機会を一層均等にし、発展の成果を人々が共有するようにするには、発展の理念とモデルを整え、発展の公平性、有効性、協同性を高めなければならない。

われわれは勤労と倹約質素に励み、奮闘努力する社会気風を提唱し、すべての人の労働の成果が尊重されるようにしなければならない。貧困、失業、所得格差拡大などの問題の解決に力を入れ、弱者層の懸念に配慮し、社会の公平・正義を図らなければならない。生態環境をしっかり守り、経済、社会、環境の調和のとれた発展を図り、人と自然、人と社会の調和を実現しなければならない。持続可能な開発のための2030アジェンダを実行し、世界的範囲でバランスのとれた発展を実現しなければならない。

「力を結集すれば、勝てないものはなく、知恵を合わせれば、成し遂げられないものはない」。人類運命共同体の意識を固め、手を携えて努力し、共に責任を担い、共に助け合い、共に難関を乗り越えるなら、必ず世界をより素晴らしいものにし、人民をより幸福にすることができる。

ご在席の皆さま、友人の皆さま

38年の改革・開放を経て、中国は世界第2位の経済体(エコノミー)となった。道が運命を決める。中国の発展のカギは中国人民が中国共産党の指導の下で、国情にかなった発展の道を歩んだことにある。

それは国情から出発して確立した道である。中国は自国の国情と実践を踏まえ、中華文明の中から英知を汲み取り、東西各国の良いところを広く取り入れ、堅守するも硬直化せず、参考にするも丸写しはせず、模索を続ける中で自らの発展の道を形成した。すべての道はローマに通ずる。誰も自らの発展の道を唯一絶対とすべきではないし、さらには自らの発展の道を他人に押し付けるべきではない。

それは人民の利益を第一に据える道である。中国は人民中心の発展思想を堅持し、人民の生活改善、人民の福祉増進を出発点と帰結点とし、人民の中で発展の原動力を探し、人民に依拠して発展を図り、発展が人民に幸福をもたらすようにしている。中国は共同富裕の目標を堅持し、貧困削減事業を大いに推進し、7億人余りの貧困を解消し、全面的小康社会〈ややゆとりのある社会〉完成の目標に向かって早足で前進している。

それは改革・革新の道である。中国は改革を通じ、前進途上の困難と試練を打破し、敢えて固い骨をかじるような困難な仕事に取り組み、危険に挑み、勇気をもって発展を阻害する体制・仕組み上の障害を打破し、社会生産力を解き放ち、発展させ、社会の活力を解き放ち、強めている。この4年間、われわれはその前の30年余りの改革を踏まえ、1200項目余りの改革措置を打ち出し、中国の発展のために強大な原動力を注入した。

それは開放の中で共同発展を探る道である。中国は対外開放の基本国策を堅持し、互恵ウィンウィンの開放戦略を進め、発展の内外連動性を高め、自らの発展の実現と同時により多くの恩恵を他の国と人民にもたらしている。

中国の発展は非常に大きな成果を収め、中国人民の生活が極めて大きく改善された。これは中国にとって良いことであり、世界にとっても良いことである。中国の発展の成果は中国人民の数十年の苦しい努力と血と汗によって得られたものである。何千何百年もの間、中華民族はもともと苦労に耐えて働くことで世界に知られている。中国人民は、世界に無料の食事などないことをよく承知している。中国は13億人余りの人口大国で、発展しようと思うなら、自らの地道な働きに依拠すべきで、他人からの施しに頼るものではないし、世界にそのような能力のある者はいない。

中国の発展を見るには、中国人民が何を得たかを見るべきで、さらには中国人民がどのような苦労をしたかを見るべきであり、中国がどのような成果を収めたかを見るべきで、さらには中国が世界にどのような貢献をしたかを見るべきで、それこそが包括的な見方である。

1950年から2016年まで中国は自らの長期発展の水準と人民の生活水準が高くない状況の中で、4000億元(1元=約16円)余りの対外資金援助を行い、5000件余りの各種対外援助事業を実施した。中には3000件近くのプラントプロジェクトがあり、1万1000余りの訓練クラスを開催し、発展途上国のために中国で26万人余りの各種人員を訓練した。改革・開放以来、中国は外資導入が累計で1.7兆㌦を超え、対外直接投資が1.2兆㌦を超え、世界経済の発展に非常に大きな貢献をした。世界金融危機以降、中国経済の成長による世界経済への寄与率は年平均30%以上となっている。これらの数字は世界でも上位にランクされている。

これらの数字から次の点が見て取れる。中国の発展は世界のチャンスであり、中国は経済グローバル化の受益者であり、さらには貢献者である。中国経済の急速な成長はグローバル経済の安定と成長に持続的で強大な推進力をもたらした。中国と多くの国の連動発展でグローバル経済の発展がより一層バランスのとれたものになっている。中国の貧困削減事業の非常に大きな成果によってグローバル経済はより包摂的なものになった。中国の改革・開放の持続的推進が開放型の世界経済の発展に重要な原動力をもたらした。

中国人民は国の繁栄・富強を実現する難しさや厳しさをよく知っている。各国人民の収めた発展の成果に対しては常に称賛し、祝福し、ますます良くなることを希望しており、「ねたみ病」になることはないし、他人が中国の発展から大きなチャンスと厚い見返りを得たことをうらむことはない。中国人民は各国人民が中国の発展に相乗りすることを、諸手を挙げて歓迎する。

ご在席の皆さま、友人の皆さま

多くの人が中国経済の発展動向に関心を持っている。中国経済の発展は新常態(ニューノーマル)に入り、経済の成長速度、経済の発展パターン、経済の構造、経済発展の原動力に重大な変化が起きつつある。しかし、中国経済が長期的に上向くというファンダメンタルズは変わっていない。

2016年、世界経済が伸びない中で、中国経済は成長率が6.7%の見込みで、依然として世界の上位にある。現在、中国経済のボリュームを以前と同じように語ることはできない。集積されたエネルギーは過去の2ケタ成長当時を超えるものだ。中国の個人消費とサービス業が経済成長の主要な原動力となり、2016年の第1~3四半期は第三次産業の国内総生産(GDP)に占める割合が52.8%となり、経済成長に対する国内消費の寄与率が71%に達した。個人消費と就業の安定した伸びを実現し、単位GDP当たりのエネルギー消費が持続的に低下し、グリーン発展の成果が出始めている。

現在、中国経済は一定の下振れ圧力と多くの困難に直面している。例えば生産能力の過剰と需要構造の高度化の矛盾が際立ち、経済成長の内的原動力が不足し、金融リスクが多少集積し、一部地区で困難が増えている。われわれは次のように考えている。これらはみな前進途上で必然的に現れる段階的現象で、これらの問題や矛盾の解決に今、力を入れ、プラスの成果を絶えず収めている。われわれの断固前進する決意が揺れ動くことはない。中国は依然として世界最大の発展途上国で、13億人余りの生活水準はまだ高くないが、これはまた非常に大きな発展の潜在力と余地のあることを意味している。われわれは革新、協調、グリーン、開放、共有の発展理念の指導の下、新常態に絶えず適応し、把握し、導き、成長を安定させ、改革を促進し、構造を調整し、民生に恩恵をもたらし、リスクを防ぐ取り組みを統一的に計画して力を入れ、中国経済の中高速成長を推進し、ミドル・ハイエンドレベルへのまい進を図る。

―中国は経済成長の質と効率の向上に力を入れ、供給サイドの構造改革という主軸をめぐり、経済発展パターンを転換し、経済構造の最適化を図り、生産能力、在庫、レバレッジの削減を図り、コストを低減し、弱い部分を補強し、成長の新たなエネルギーを育て、先進的製造業を発展させ、実体経済の高度化を実現し、「インターネット+」の行動計画を深く実施し、有効需要を拡大し、人々の個性化、多様化したニーズをより一層満たし、生態環境を一層保護する。

―中国は成長の原動力と市場の活力を絶えず引き出し、重要分野と重要部分の改革を拡大し、市場が資源配分の中で決定的役割を果たすようにし、革新という「キーポイント」をしっかりつかみ、革新駆動の発展戦略を推進し、戦略的新興産業の発展を図り、新技術、新業態によって伝統産業の改造、高度化を図り、新エネルギーの発展・拡大を促し、伝統的エネルギーの生気を再び奮い立たせる。

―中国は緩やかで秩序のある投資環境を積極的に築き、外国企業に対する投資参入規制を緩和し、高い基準の自由貿易試験区を築き、財産権保護を強化し、公平な競争を促し、中国市場をより透明で、より規範化されたものにする。今後5年間に中国は8兆㌦の商品を輸入し、6000億㌦の投資を導入し、対外投資総額が7500億㌦に達し、海外旅行者が7億人に達するだろう。これは世界各国により広い市場、より十分な資本、より豊富な製品、より貴重な協力の契機をもたらすだろう。各国のビジネス界にとって、中国の発展は依然として皆のチャンスである。中国の扉は常に世界に対し開かれており、閉じることはない。扉が開かれていることで世界は中国に進出でき、中国も世界に出て行くことができる。われわれは各国の扉も中国の投資家に公平に開かれていることを希望する。

―中国は共に発展する対外開放の枠組みを築くことに力を入れ、アジア太平洋自由貿易圏〈FTAAP〉と東アジア地域包括的経済連携〈RCEP〉の交渉を推進し、世界に開かれた自由貿易圏ネットワークを構築する。中国は排他的、断片的な小さな貿易圏ではなく、開放・透明、互恵・ウィンウィンの地域自由貿易圏を一貫して主張している。中国には人民元安を誘導し、貿易の競争力を高める考えはなく、さらには通貨戦争を仕掛けることはない。

3年余り前、私は「一帯一路」(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)を提唱した。この3年余りに、100余りの国と国際機関が積極的に呼応し、支持し、40余りの国と国際機関が中国と協力取り決めを結び、「一帯一路」の「友人グループ」が拡大しつつある。中国企業の沿線国に対する投資が500億㌦余りに達し、一連の重要事業が実施され、開花し、各国の経済発展をけん引し、多くの就業を創出している。「一帯一路」は中国が呼びかけたものだが、成果は世界に恩恵をもたらしている。

今年5月、中国は北京で「一帯一路」国際協力サミットフォーラムを開催し、協力の大計を話し合い、協力のプラットホームを共に築き、協力の成果を共有し、現在の世界と地域の経済が直面している問題を解決する方策を探り、連動型の発展を実現するため新たなエネルギーを注入し、「一帯一路」の建設が各国人民により一層幸福をもたらすようにする。

ご在席の皆さま、友人の皆さま

世界の歴史発展が教えているように、人類の文明進歩の歴史は平坦な道ではなく、人類は困難と闘いながら前進してきた。いくら大きな困難も人類の前進の歩みを止めることはできない。困難にぶつかっても、恨み言を言わず、他人を責めず、自信を捨てず、責任から逃げず、一つになって困難に打ち勝たなければならない。歴史は勇敢な者が築いたものである。自信を示し、行動をとり、手を携えて、未来に向かって前進しよう。

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