駐名古屋総領事楊嫻「中日新聞」に署名入り文章を寄稿
2023-06-12 09:00

 6月11日、駐名古屋総領事楊嫻は「中日新聞」に「平和を胸に友好を築こう」をテーマに署名入り文章を寄稿しました。全文は以下の通りです。

 最近、私は総領事館で岐阜県出身の玉田澄子さんとお会いし、親しく懇談しました。玉田さんは1940年代の戦時中、小学生のまま当時の中国東北部に行きましたが、1945年の敗戦に伴い、日本へと引き上げられました。

 中国人に対するしょく罪の気持ち、養ってくださった中国への恩返し、平和への祈りをもって、玉田さんは1993年から30年にわたり、中国現地の高校生や日本に留学する大学院生への奨学金事業を毎年行う市民団体を立ち上げました。戦争体験があったからこそ、平和のありがたさを知り、決して再び戦争を起こしてはいけないと玉田さんは語り、わたしたちは人生の最後まで日中平和と友好のために頑張りたいと胸のうちを明かしました。

 今、戦争体験のない世代が社会の中堅を担ってきていますが、民間では平和と友好の信念はまだ色あせていないことに感銘を受けました。6月22日から「桜よ海棠よ永遠に 周恩来と日中友好」写真展が名古屋中部文化センターで開催されます。先人の指導者が困難を乗り越えて中日友好に取り組む歴史を振り返ることで、平和と友好の理念を後世へと託すことが期待されています。

 近代以降、中国は百年にわたり列強による侵略と虐げに遭ってきました。その痛ましい歴史はいまだに記憶に新しく、中国人民は誰よりも平和の貴さを理解し、誰しも平和を強く祈念しています。「平和的発展の道を堅持」する条目もすでに中国の憲法に明記されています。

 一方、戦後以来日本は憲法のため平和の道を歩んできたとよく言われていますが、近頃いわゆる「中国脅威論」を口実に、大幅な軍備増強に乗り出し、「専守防衛」による束縛の打破を図るなど、きな臭そうな動きを見せています。はたしてこれ以上「平和国家」であり続けるかどうかは危ぶまれています。

 飛鳥時代、聖徳太子が作成したとされる日本初の成文法『十七条憲法』の初頭には、中国古書『論語』に由来する「和を以て貴しと為し」とあるように、平和への願い、友好への信念は中日両国の国民に共通しており、人心の向かうところであると信じております。中日平和友好条約締結45周年の今年、私たちは、日本の皆様と一緒に、条約締結の初心に立ち戻り、平和への思いを胸に、中日友好の船がより固くより遠く航行できるよう努力していきます。

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